電気ブラン
『その日に限って、ふと知らない横丁を通り抜けた。
そしてすっかり道をまちがえ、方向を解らなくしてしまった。
建物は不安に歪んで、病気のように瘦せ細って来た。
所々に塔のような物が見え出して来た。
屋根も異様に細長く、痩せた鶏の脚みたいに、へんに骨ばって畸形に見えた。
次の瞬間には何人にも想像されない、世にも奇怪な、恐ろしい異変事が現象した。
見れば町の街路に充満して、猫の大集団がうようよと歩いているのだ。
猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。
どこを見ても猫ばかりだ』 萩原朔太郎「猫町」より
萩原朔太郎といえば神谷バー、そして電気ブラン。
一人にて酒をのみ居れる憐れなる となりの男になにを思ふらん(神谷バァにて)
萩原朔太郎
瓶の形が四角くて、厚みも「猫町」の切り絵を入れるのにちょうどよい。
ラベルのデザインは明治15年のそのままで、当時の雰囲気をよく伝えています。
箱の絵も面白い。
電気ブランの味は・・・ブランデーより少し甘くてピリピリ・・・何だか不思議な味でした。
養命酒にちょっとだけ似てる?
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きさむ (水曜日, 10 8月 2016 14:10)
こんなお酒があるのですね。
テーマとなった萩原朔太郎の小説はずいぶん昔に読んだきりで題名は忘れていましたが、これを見て思い出しました。
お酒と合わせてまた読んでみようと思わせてくれる作品です。
カミヤ・ハセ (水曜日, 10 8月 2016 19:07)
きさむ様
コメントありがとうございます。
朔太郎の猫町、ちょっとした悪夢のような作品だと思いますが、妙に癖になる味わいがあります。時折読み返しています。