マテウス ロゼ
『セロ弾きは何と思ったかまずはんけちを引きさいてじぶんの耳の穴へぎっちりつめました。
それからまるで嵐のような勢いで「印度の虎狩」という譜を弾きはじめました。
すると猫はしばらく首をまげて聞いていましたがいきなりパチパチッと眼をしたかと思うとぱっと扉の方へ飛びのきました。そしていきなりどんと扉へ体をぶっつけましたが扉はあきませんでした。
猫はさあこれはもう一生一代の失敗をしたという風にあわてだして眼や額からぱちぱち
火花を出しました。
「先生もうたくさんです。たくさんですよ。ご生だからやめてください。
これからもう先生のタクトなんかとりませんから」』
宮澤賢治「セロ弾きのゴーシュ」より
このお話に出てくる「印度の虎狩」とはどんな曲だろう。
この曲次第で、お話のイメージが随分と変わる気がします。
調べてみると主に2通りの解釈がありました。
1・まったく架空の曲
2・エヴァンス作曲「インドへ虎狩りに」
(Hunting Tigers out in "Indiah")
1の解釈では何人もの現代の作曲家が再現に挑んでおられます。
私の拝聴した範囲では、みな不協和音を多用した激しくも美しい現代音楽でしたが・・・
2のHunting Tigers~を聴いたとき、何だか力が抜けて笑ってしまい、(これだな・・・)という感じがしました。
https://www.youtube.com/watch?v=8xfEuYTJ56c
いかにも大衆音楽らしいのが、あの気取り屋でスノッブな三毛猫をぎゃふん、と言わせるのにふさわしい気がしたのです。
この曲を「嵐のような勢いで」ごうごうとやったら・・・
「セロ弾きのゴーシュ」を書いた時、賢治の頭にはどんなメロディが響いていたのでしょう・・・
瓶はマテウス ロゼ。
ポルトガル生まれの微発泡性ワイン。
甘くて軽くておいしくて、どんどんいっちゃいました。
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